先日、女友達と食事をした時のこと。会計を済ませて店を出ると、彼女が「最近、どう?」と聞いてきたんです。
何のことかは、すぐにわかるよね。恋人がいるか。セックスはどうか。体はどうか。二人とも50代で、さっきまでワインと仕事の話をしていたのに、その一言だけ急に小さな声になった。
恋人の話まではできる。けれど、会う前に少し気が重くなる日があることや、体が前と同じではないことまで話そうとすると、言葉が止まる。いい大人なのにね、と言いながら、二人で少し笑って話を変えた。
話せないことは、頭の中で大きくなる
親密な時間のことは、相手との関係だけの話ではない。寝不足の日もあるし、気分が追いつかない夜もある。検査の話をどちらから切り出すか、迷うこともある。
どれも、暮らしの外側で起きていることではないのに、話す場所だけが少ない。だから私は、ひとりで考えすぎて、冷蔵庫の前で急に真面目になることがある。冷やすのは白ワインだけでいいのに、と思いながら。
上品に話す、ということ
上品に話すことは、黙ることではないと思う。誰かを驚かせるためでも、刺激のある話にするためでもなく、自分の生活に起きていることを、必要な言葉で話すこと。
料理をして、仕事をして、恋人に会って、ひとりで眠る。そんな毎日の中に、親密な時間のこともある。うまくいかない日があっても、それを全部ひとりで片づけなくていい。あの夜、友人と店の前で交わした短い話を、私は今も覚えている。
この場所でも、言いにくいことを、少しずつ書いていくつもりだ。